


Photo:Marc Morris/Kaz Photography
チャンピオンシップ(2部に相当)のサウサンプトンに移籍した日本代表の李忠成が、1月28日のFAカップ4回戦、ミルウォール対サウサンプトン戦の後半から途中出場してデビューを飾った。サウサンプトンは、1月30日時点で現在2位。上位2チームがプレミアリーグへ自動昇格し、3位から6位までの4チームが残る1枠を決めるプレイオフを行う。
日本代表選手のFWといえば、2001年プレミアリーグのボルトンに移籍した西沢明訓がいる。しかし、プレミアリーグ、FAカップ共に出場なし。リーグカップに3試合出場して1ゴールのみ。同じくボルトンに移籍した晩年の中田英寿もシーズンを通して活躍したとはいえない。西沢は、2000年モロッコで行われたハッサン2世国王杯の日本対フランス戦で決めたボレーシュートが見事だったので、スペインのエスパニョールへの移籍が決まったといわれている。スペインからイングランドへ活躍の場所を求めたが結果が伴わなかった。
昨年のアジアカップ決勝で見事なボレーシュートを決めた李が、西沢の二の舞にならないためには、シーズン後半で結果を出さなければならない。
夢のプレミアリーグへ昇格し、来季彼の活躍を見てみたい。
山田一仁
1月19日、コッパ・イタリアのベスト16でインテルがジェノアと対戦し、2対1で準々決勝に勝ち上がった。この試合にベンチ入りした長友は、後半76分から交代出場。
本来の左サイドバックではなく、左サイドハーフに入った長友は、中央でドリブル突破を図るが、相手DFに跳ね飛ばされてボールを失う。すると、長友がフリーでも、ボールが回ってこなくなる。これに、「一体どうして、僕にボールをくれないんだ」とつぶやいているように頭をかしげる長友。だが、待てよ。試合は2対0で残り15分。試合をコントロールし、勝ちを完全なものにするのがこの時間帯の戦い方。左サイドバックでプレイする主将のサネッティは、足元にボールを置くキープしながらのドリブルでセンターラインあたりからゴールラインまで持ち込み、コーナーキックを奪う。これこそが求められているプレイだ。だからこそ、38歳で強豪インテルの主将で活躍している。
日本では、勝利を確実にするために3点目を取りに行く姿勢が評価されるかもしれない。だが、イタリア、いや他の欧州リーグでも残り15分からは、いかに相手をいなすかなのだ。世界最高のサイドバックになるには、サッカー文化の違いも理解しなくてはいけない。
山田一仁
<スター誕生>
トッテナムは、前節アーセナルをホームで破ったのに引き続き、4月17日首位チェルシーをも圧倒し完勝。2対1という結果以上に内容でチェルシーを凌駕した。
この結果により、トッテナムはマンチェスター・シティ(以下マンーシティ)を抜いて4位に躍り出た。アーセナルがウィーガンに負けたことにより、優勝争いはチェルシーとマンチェスター・ユナイテッドに絞られた。同様にチャンピオンズリーグ出場権を獲得する4位争いがトッテナムとマンーシティで白熱している。
チェルシーとの試合で、相手の守備陣を引き裂いたのは、左サイドハーフのベイリー。
昨季からめきめきと力をつけていたのだが、この試合ではチェルシーの右サイドバック、フェレイラ(ポルトガル代表)をスピードとテクニックで翻弄。チャンスメイクと前半終了間近に1ゴール。フェレイラを後半交代させてしまう。代わりに入ったイヴァノビッチもベイリーの餌食になり、その突破力を恐れてタックルに行ったテリーは退場。
ベイリーはまだ20歳。若干16歳でウェールズのフル代表にデビュー。イングランド代表のカペッロ監督が「ベイルがイングランド人なら」と嘆いているに違いない。山田一仁
<天国と地獄>
4月6日、本田圭佑のCSKAモスクワはチャンピオンズリーグ(以下CL)準々決勝、インテルとの第2戦に0対1で破れ、2試合合計でも0対2となり敗退。本田のアドベンチャーはベスト8で終わった。ベスト16のセビージャとの2試合目では直接FKを決めて8強進出を決める大活躍をしたのだが、インテルとの試合では、1戦目では自分がドリブルしているボールを失い、そこからインテルがカウンターアタックで奪った1点に泣いた。
2戦目ホームで先取点を奪えばチャンスがあった。しかし、試合開始直後に本田がバックパスしたボールをかっさらわれる。たまらず味方DFがファウルで止めたことによってインテルに与えたFKからシュナイダーに先取点を奪われ、試合展開はインテルの思う壺になってしまった。
CLの8強ともなれば、どのチームもハイレベル。レベルが高くなればなるほど、一つの小さなミスが、失点に繋がる。CSKAモスクワを初のCL準々決勝進出に導いたヒーローは、インテル戦では2失点に繋がるミスをしてしまった。天国から地獄へ。
しかし、見方を変えれば本田がキープレイヤーで相手から狙われていたということ。本田を抑え込めば、CSKAの攻撃の芽を摘むことが出来るとインテル、つまりモウリーニョ監督が考えていたと言える。それだけ相手に恐れられる選手に成長したのだ。だが、2つの小さなミスが大舞台では大きな代償になることを彼も身をもって知ったはずだ。
この経験を生かして、次のステップアップに繋げれば良いのだ。
復活のチャンスはある。夏のW杯南アフリカ大会という大舞台が彼を待っている。
山田一仁
山田一仁
<チェルシー、ブレのない安定感>
プレミアリーグ首位のチェルシーは、21日ホームにウォルバーハンプトンを迎えて4対0と完封。全ての大会を含めてホーム12連勝の新記録を達成。イングランド代表のランパードは腿の怪我で約3週間の離脱。さらにこの試合、ドログバ、デコ、バラックのレギュラークラスを欠いても、これら4人の代わりに出場するマルダ、ミケル、カルーも各国代表クラス。 格下相手なら戦力ダウンが感じられない安定感。これが今季優勝争いをアーセナル、マンチェスター・ユナイテッドを相手に勝ち点差5でリードする理由だ。
これに比べて、開幕から最悪のスタートをしているリバプールは、中盤の守備の要、シャビ・アロンソをレアル・マドリッドに放出した穴が大きく。さらにトーレス、ジェラードの怪我で戦力は半減。13試合で既に5敗。週末の試合でジェラードが復帰したにも関わらず、大型補強で大きく戦力アップしたマンチェスター・シティにホームでの引き分けがやっと。
先発11人の能力が高くても長いシーズンでは怪我の離脱もある。サッカーは11人でやるスポーツだが、控え選手を含めたチーム全員で戦う必要があることを今季は思い知らされる。
山田一仁
山田一仁
ドリブル突破が期待できるのは、松井大輔だ!
山田一仁
この数ヶ月でPC2台が立て続けに故障。リカバリーしたと思ったら盗難。ついに新規購入。最近やっと仕事が通常レベルに戻ってきましたので、ブログも再開。
<移籍に絡むお金と誠意>
6月22日中村俊輔のエスパニョールへの移籍が決定した。当初、セルティックから移籍すると思われた横浜マリノスは、入団発表直前で破談に。セルティックの給料の半分という条件を飲んで横浜マリノスに移籍するつもりだった中村側が態度を硬化させたのは、クラブが不況の影響で支払いを渋り、中村入団を前提に各方面と商談を進めていたことらしい。
同じ頃、マンチェスター・ユナイテッド(以下マンーU)のテベスが、クラブの5年契約のオファーを断った。チェルシーとマンチェスター・シティが移籍先の有力候補。
マンーUでは選手の最高年収となるオファーを断ったとは、どういうことか?代理人の言葉を借りれば「2年間のローン期間中オファーがなく、今季の出場機会激減から本人はクラブから必要とされていないと感じている」 なるほど、ロナウドのレアル・マドリッド移籍決定後のオファーでは、マンーUがテベスを必要としているという誠意が伝わらない。
お金のためだけでなく、自分を必要としてくれるクラブで選手はプレイしたいはず。
俊輔も長年の夢だったスペインリーグで可能性を試す。そのチャレンジに私は期待したい。
山田一仁
アーセナルが、昨季プレミアリーグ王者のマンチェスター・ユナイテッド(以下マンーU)に前節2対1と完勝したので、不調から抜け出したと信じた私が甘かった。
15日ホームでアストン・ビラに0対2と完敗。これで今季13試合で既に4敗。優勝の望みは消えたに等しいだろう。
その理由を見つけるのは簡単かも知れない。アデバヨールは怪我あがりで途中出場。エドワルド、ファン・ペルシが怪我のためFWの駒不足。MFのロシツキーも怪我。
アーセナルは、ボールをきれいにパスしながら相手を崩すスタイル。時にその信じられないクオリティーに見る者は驚愕する。しかし、パスが回らなくなると途端にチームの調子がおかしくなる。
王者マンーUに勝ったと思えば、昇格組のハル、ストークに敗れる。今のアーセナルには強さに継続性が無い。
サッカーではこれを"inconsistency"と言う。強さに継続性があるものが優勝するのだが、そういうチームを"consistency"と表現したりする。
アーセナルの素晴らしいパスサッカーを見るのは、楽しい。いわゆる娯楽性が高い。それに強さが加わったとき、勝者の資格とエンターテイメントの王者が両立するのだろう。
だが、サッカーで娯楽性(entertainment)と強さ(strength)を両立させるのは、はなはだ難しい。
その両方を求めたチェルシーのオーナー、アブラモビッチは強さに飛びぬけたモウリーニョ監督に娯楽性が足らないとして切り捨てた。
今季、アーセナルがトップ4から堕ちた時、ベンゲル監督はどうなる?
山田一仁
山田一仁
山田一仁
山田一仁
山田一仁
アジアカップ3連覇を狙っていた日本代表は、準決勝で中東の強豪サウジアラビアと対戦。私の予想は、1点差(1対0か2対1)の勝負。チームとしての総合力は殆んど差がない。どちらが勝ってもおかしくない。だが、サウジアラビアは22日(日)準々決勝を戦い、翌日23日(月)に12時間近くかかってハノイに移動。試合は中2日の25日。一方、日本は移動なしで中3日。この差が微妙に日本有利に働くと私は考えていた。
先取点を奪ったのはサウジアラビア。しかし、日本はCKから中沢のヘッドですぐに同点。先発はオーストラリア戦と同様だったが、変更点は中沢のポジション。日本のマイボールになった時点で、中沢が通常の中盤の選手の位置まで上がってきたのは驚きだった。
今までは、敵のFWが2枚の時、DFは2人にもう一人余っている状態、つまり守っている方が「+1」を維持していた。そのスタイルはヨーロッパでも基本的な形。チャンピオンズリーグを戦うトップクラブでも多くが、「+1」を基本としている。
しかし、中沢が少し上がり目のポジションを取った事によって、「+1」ではなく、2トップに対し、2DFの同数勝負の形が頻繁に現れてきた。サウジアラビアは個人技が高く、カウンターアタックに優れている。その強敵に対して、敢えてリスクのあるスタイルを取ったのはなぜか。
後半開始直後に取られて失点は、日本のグループリーグから続いていた守備の弱さを露呈してしまった。しかし、2失点しながらも、それぞれの失点後にすぐに追いついた能力は褒めてあげたい。だが、3点目の失点のプロセスがあまりにも情けない。
今までに世界の強豪と戦い個人技の高い国との対戦にも、あの3点目ほどぼろぼろにされたときがあっただろうか?
私のサウジアラビア戦で見えてきたものは以下の点だ。
1. 中村憲剛と鈴木啓太の2ボランチは、格下の相手にボールポゼッションを高めるボール回しをするには問題ないが、自分たちと同等か格上の相手に戦うには守備の能力がなさ過ぎる。
2.サウジアラビア戦で、この2人がスライディングタックルをしたのを見たのは、私の記憶で、鈴木啓太が1回。中村憲剛は、1回もしていないはずだ。味方のピンチにタックルでボールを奪えなくて、このポジションの役目が果たせるだろうか?特に中村憲剛は、ボールを持った相手に対するチェックが甘く、UAE 戦などでドリブルの中央突破などを許している。
3. ボランチ役には、相手を跳ね飛ばせることが出来るようなフィジカルの強さとパスも出せる能力のある選手が必要。
4.交代出場で入ってきた選手のうち、羽生はバー直撃のシュートを放つなど、可能性を感じさせたが、佐藤と矢野は全く歯が立たなかった。特に矢野はロビングに対して相手DFとの駆け引きに負け、ヘッディングできるボールに対して、ジャンプも満足に出来ず頭にボールを当てることさえ出来なかった。
5. 9月の欧州遠征(対スイス、オーストリア戦)には松井(ルマン)、稲本(フランクフルト)、中田浩二(バーゼル)、三都主(ザルツブルグ)などが加わった代表が見たい。
オシム監督が言っている「目標は2010W杯。試合に負けて学ぶことも必要」や、欧州組みをあまり重用せず、国内組を中心に今まで代表選考してきたことは、ジーコ時代と違って国内組のレベルアップを図り、最終段階で欧州組みを融合させた方が、チームの総合力をアップさせるには良い考え方と私は理解していた。
だが、アジアカップの準決勝という舞台、事実上の決勝と私が見ていたサウジアラビア相手で中沢のポジションを上げるリスクを犯して得るものは一体なんだったのだろう。
3位決定戦に回った日本。相手は韓国。どんな試合であれ、「日本には絶対に負けてたまるか」という意気込みで勝負してくる韓国。気持ちの上では日本は不利だろう。
通常なら、サブ組に出場機会を与えるが、オシムはどの選手を使ってくるか。同じ先発布陣なら、ジーコ監督時代と同じようにサブ組は紅白戦要員と取られても仕方ない。
山田一仁
山田一仁