山田一仁 公式フォトブログ - Kaz Photo [ Photographer Kazuhito Yamada ] -

Archives

日本代表、準決勝敗退

July 27, 2007
e0068849_1340190[1].jpg
深いタックルにうろたえる巻。
これだけ深いタックルを日本選手はしていただろうか?
  

 アジアカップ3連覇を狙っていた日本代表は、準決勝で中東の強豪サウジアラビアと対戦。私の予想は、1点差(1対0か2対1)の勝負。チームとしての総合力は殆んど差がない。どちらが勝ってもおかしくない。だが、サウジアラビアは22日(日)準々決勝を戦い、翌日23日(月)に12時間近くかかってハノイに移動。試合は中2日の25日。一方、日本は移動なしで中3日。この差が微妙に日本有利に働くと私は考えていた。

 先取点を奪ったのはサウジアラビア。しかし、日本はCKから中沢のヘッドですぐに同点。先発はオーストラリア戦と同様だったが、変更点は中沢のポジション。日本のマイボールになった時点で、中沢が通常の中盤の選手の位置まで上がってきたのは驚きだった。

 今までは、敵のFWが2枚の時、DFは2人にもう一人余っている状態、つまり守っている方が「+1」を維持していた。そのスタイルはヨーロッパでも基本的な形。チャンピオンズリーグを戦うトップクラブでも多くが、「+1」を基本としている。

 しかし、中沢が少し上がり目のポジションを取った事によって、「+1」ではなく、2トップに対し、2DFの同数勝負の形が頻繁に現れてきた。サウジアラビアは個人技が高く、カウンターアタックに優れている。その強敵に対して、敢えてリスクのあるスタイルを取ったのはなぜか。

 後半開始直後に取られて失点は、日本のグループリーグから続いていた守備の弱さを露呈してしまった。しかし、2失点しながらも、それぞれの失点後にすぐに追いついた能力は褒めてあげたい。だが、3点目の失点のプロセスがあまりにも情けない。

 今までに世界の強豪と戦い個人技の高い国との対戦にも、あの3点目ほどぼろぼろにされたときがあっただろうか?

 私のサウジアラビア戦で見えてきたものは以下の点だ。

1. 中村憲剛と鈴木啓太の2ボランチは、格下の相手にボールポゼッションを高めるボール回しをするには問題ないが、自分たちと同等か格上の相手に戦うには守備の能力がなさ過ぎる。

2.サウジアラビア戦で、この2人がスライディングタックルをしたのを見たのは、私の記憶で、鈴木啓太が1回。中村憲剛は、1回もしていないはずだ。味方のピンチにタックルでボールを奪えなくて、このポジションの役目が果たせるだろうか?特に中村憲剛は、ボールを持った相手に対するチェックが甘く、UAE 戦などでドリブルの中央突破などを許している。

3. ボランチ役には、相手を跳ね飛ばせることが出来るようなフィジカルの強さとパスも出せる能力のある選手が必要。

4.交代出場で入ってきた選手のうち、羽生はバー直撃のシュートを放つなど、可能性を感じさせたが、佐藤と矢野は全く歯が立たなかった。特に矢野はロビングに対して相手DFとの駆け引きに負け、ヘッディングできるボールに対して、ジャンプも満足に出来ず頭にボールを当てることさえ出来なかった。

5. 9月の欧州遠征(対スイス、オーストリア戦)には松井(ルマン)、稲本(フランクフルト)、中田浩二(バーゼル)、三都主(ザルツブルグ)などが加わった代表が見たい。

 オシム監督が言っている「目標は2010W杯。試合に負けて学ぶことも必要」や、欧州組みをあまり重用せず、国内組を中心に今まで代表選考してきたことは、ジーコ時代と違って国内組のレベルアップを図り、最終段階で欧州組みを融合させた方が、チームの総合力をアップさせるには良い考え方と私は理解していた。

 だが、アジアカップの準決勝という舞台、事実上の決勝と私が見ていたサウジアラビア相手で中沢のポジションを上げるリスクを犯して得るものは一体なんだったのだろう。

 3位決定戦に回った日本。相手は韓国。どんな試合であれ、「日本には絶対に負けてたまるか」という意気込みで勝負してくる韓国。気持ちの上では日本は不利だろう。

 通常なら、サブ組に出場機会を与えるが、オシムはどの選手を使ってくるか。同じ先発布陣なら、ジーコ監督時代と同じようにサブ組は紅白戦要員と取られても仕方ない。

山田一仁