1月19日、コッパ・イタリアのベスト16でインテルがジェノアと対戦し、2対1で準々決勝に勝ち上がった。この試合にベンチ入りした長友は、後半76分から交代出場。
本来の左サイドバックではなく、左サイドハーフに入った長友は、中央でドリブル突破を図るが、相手DFに跳ね飛ばされてボールを失う。すると、長友がフリーでも、ボールが回ってこなくなる。これに、「一体どうして、僕にボールをくれないんだ」とつぶやいているように頭をかしげる長友。だが、待てよ。試合は2対0で残り15分。試合をコントロールし、勝ちを完全なものにするのがこの時間帯の戦い方。左サイドバックでプレイする主将のサネッティは、足元にボールを置くキープしながらのドリブルでセンターラインあたりからゴールラインまで持ち込み、コーナーキックを奪う。これこそが求められているプレイだ。だからこそ、38歳で強豪インテルの主将で活躍している。
日本では、勝利を確実にするために3点目を取りに行く姿勢が評価されるかもしれない。だが、イタリア、いや他の欧州リーグでも残り15分からは、いかに相手をいなすかなのだ。世界最高のサイドバックになるには、サッカー文化の違いも理解しなくてはいけない。
山田一仁